思考伝聞

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押忍

冬季合宿・・・あきらめない心

   年が明け、挨拶回りや新年会などもようやく落ち着き、仕事に集中しなければならないのですが・・・しかし、毎年この時期は空手の冬季合宿があり、これが終わらないとどうも落ち着きません。何しろ、100名を超える子供達を預かり、「来て良かった」と思える内容の稽古をして、しかも何事もなく無事帰路について貰わねばならない訳ですから責任重大です。

 今年は、8日から10日までの3日間、恒例の「ルネサンス棚倉」で2泊3日で行われました。この合宿、参加資格は基本的に小学校2年生以上で、夏はかなりの人数が集まりますが、冬はとっても寒い事から、今回の参加人数は約112名という少人数でした。案の定、合宿中はこの冬一番の寒波がきて、体育館の中は冷凍庫のようでした。しかし逆を言うと、だからこそ合宿の意義があり、参加した人達にとってはとても良い経験になり、今後の稽古や日常生活に取り組む際の精神的な自信にも繋がると思います。今回参加を躊躇した人も、心身を鍛えよう、自分を変えよう、積極的に生きよう・・・そう思って入門してきた訳ですから、その想いを貫き通さねば何も得られない武道の修行過程において、「暑い、寒い」などと言ってないで、次回からは是非参加して欲しいと思います。実際、小学生のちっちゃい子でも白い息を吐いて頑張っているのですから・・・。

 今回の合宿のテーマは「型」と「組手」。当たり前と言えば当たり前なのですが、前回までは「型」を打つために、基礎をつくる地稽古をふんだんに取り入れていました。しかし、今回はとにかく「型」を繰り返し行うのみにして、時にはゆっくりと時には静止して何度も反復しました。特に一般部では「辛くて涙が出た」とみんなが口ぐちに言っていましたが、「量」の稽古も当然重要です。稽古が終ってから耳にしたのですが、組手の選手が「型をやり込むと組手が強くなるかもと初めて思いました」と言ってましたが・・・何を今更・・・テメーコノヤローです。
 「組手」の稽古では、「受け返し」と大氣拳の「練」を徹底的に行いました。もちろん仕上げは総当たりの「組手」を何十ラウンドやったか・・・。
 しかし、「型」や「組手」が終わると、小休止に入るのですが、冷凍庫の様な体育館ですから5分もすると汗が完全に冷え切り、身体の芯から震えが来ます。そんな時、今回も保護者会の皆様が大勢で差し入れに来て下さり、「ココア、ホットカルピス、味噌汁」と、ホントに「心」まで温まる飲み物を準備して下さいました。心から感謝致します。有難うございました。

 合宿最終日は、「子供の型団体戦」。3~5人一組で、24チームの参加。優勝したチームは流石に上手かったけど、でも、入賞しなかったチームも素晴らしい出来でした。ただ私は、この大会に参加する意義は、入賞うんぬんや型の出来そのものよりも、子供達だけであれこれ悩んで打つ型を決め、チーム名を考え、それぞれの配置を考え、みんなで勝利に向かって努力する過程で、色々な事を掴み取る事にあると思います。
 私はいつも、「空手の試合は個人競技、道場稽古は団体競技」と言っていますが、先輩が後輩に一所懸命教えてる姿、後輩が先輩の教えを一所懸命に聞く姿、そして勝っても負けても共に喜び共に悔しがる姿は、その言葉を具体的に言い現す良い機会であったと思います。個人競技は、頑張るか頑張らないかは自分次第で、自分が頑張らないと結果は出ないし、誰のせいにも出来ない自己責任です。でも、普段の稽古では一人で頑張れなくても、あきらめそうな時でも仲間がいれば頑張れるし、先生や先輩、仲間や後輩のために力を発揮できるという事もある訳です。つまり世の中は全て、「人は人によって活かされている」訳で、だから空手においても個人競技であり団体競技でもあると私は思います。でも最近は、その団体競技である筈の道場なのに、協調性を持たない人が多くなりました。先輩は先輩なりの、仲間は仲間なりの責任があります。もちろんそれは「義務」ではなく「義理」ではありますが、人は決して一人では生きていけないし、周りの人達に助けられ励まされて生きています。「お互い様」と言う事に気付いていない人が多く見受けられます。辛くなったら休む、頑張らない。苦しくなったら辞める、あきらめる。もう少し、あと少し、ちっちゃい夢でも絶対叶えるんだという強い意志、自覚、責任感があれば必ず叶うのに・・・。そのまま夢をあきらめるのでしょうか・・・それは自分一人の問題で終わるのでしょうか・・・。今回の合宿、そして型の大会では、100㎝にも満たないちっちゃい子供達が、寒さに震えながら、それでも班のリーダーや学年や帯上の先輩としての責任を全うするべく頑張る姿を見て、また子供達に教えられました。もちろん、子供達自身も素晴らしい経験として残ったのではないでしょうか。

 人は誰でも夢や目標があります。でも、それを叶えるべく努力する人の方が少ないのかもしれません。何故でしょうか?それは、自分自身をすぐに甘やかすからです。空手で言えば、入門した時の強い気持ちがずっと続いていれば、大概の目標は叶うのでしょう。しかし、その強い気持ち「想い」は段々と薄れてゆく・・・段々自分に負けていって結果あきらめてしまうものです。かく言う私も、何度夢や目標をあきらめてきた事か・・・何度挫折した事か・・・でも、「あきらめない心だぞ」と皆に言い続けてきたからこそ、自分も何とかここまで来れたのかなと思っています。そして、これからも挑戦する強い意志だけはずっと持ち続けて行きたいと思っています。

 「土壇場に強い人」・・・それは、最後まであきらめない人の事を言う。私は「道場」で「土壇場に強い人」を沢山育てていきたいと思う。



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